導入「死にたい」と打ち明けられたとき、あなたはどうしますか?多くの人が知らない5つの大切なこと
導入
もし、あなたの大切な友人や家族が「死にたい」とぽつりとつぶやいたら、どんな言葉をかけますか?
「そんなこと言わないで」「元気を出して」——。私たちはつい、励ましの言葉を探してしまいます。しかし、良かれと思ってかけたその言葉が、実は相手をさらに深い孤独に追い込んでしまう危険性があるとしたら、どうでしょうか。
この記事では、心理カウンセラーの視点から、「死にたい」という切実なSOSの本当の意味と、本当に相手の力になれる寄り添い方について、専門的な知見に基づいた5つの重要なポイントを解説します。
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1. 「死にたい」は「生きたくない」ではない。「この苦しみから逃れたい」というSOS
「死にたい」という言葉は、必ずしも文字通りの意味とは限りません。この言葉には、言葉にしきれないほどの苦しみや孤独、そして誰にも伝えられない悲鳴が込められています。多くの場合、それは「今の耐え難い苦しみから解放されたい」「もう何も感じたくない」という、心の限界を示す悲痛なサインであり、絞り出すようにして発せられた「助けて」という叫びなのです。
これは“命を絶ちたい”という直接的な願望の場合もありますが、「消えてしまいたい」「静かに休みたい」「苦しさから逃れたい」という意味合いで発せられることも多いです。
2. 「そんなこと言わないで」という励ましが、実は最も危険
「死にたいなんて言わないで」「頑張れば大丈夫」といった言葉は、相手のためを思っての発言だとしても、実は最も避けるべき対応です。なぜなら、これらの言葉は本人が抱える深刻な苦しみを「気のせい」や「甘え」として退け、「この苦しみは誰にも理解してもらえない」という絶望感を強めてしまうからです。打ち明けるために振り絞った勇気を否定されたと感じた本人は、心を閉ざし、さらに孤立を深めてしまう危険性があります。
「死にたいなんて言わないで」「そんなこと思っちゃダメ」という否定は、さらに本人を追い詰めます。
3. 本当の支えは「解決」ではなく、ただ「受け止める」こと
苦しみを打ち明けられたとき、私たちはつい何かアドバイスをしたり、問題を解決してあげようとしたりしがちです。しかし、本当に求められているのは解決策ではありません。まずは、相手の気持ちを一切否定せずに、ただ「そう感じているんだね」と受け止めることが最優先です。「つらいね」「苦しかったね」といった共感的な相槌は、本人が「この気持ちをわかってもらえた」と感じるための、何よりの助けとなります。周囲の人ができる最もシンプルで、かつ最もパワフルな支援は、評価や判断をせず、ただ聴き、受け入れる「傾聴」と「受容」の姿勢なのです。
4. その感情は「弱さ」の証ではなく、「耐えてきた」証
「死にたい」と感じてしまうことに対して、本人は「自分は弱い人間だ」と自己嫌悪に陥っていることが少なくありません。しかし、その感情は決して本人の弱さの証明ではありません。むしろ、それだけ長い時間、一人で計り知れないほどの苦痛に耐え、頑張ってきたことの証なのです。この感情は決して異常ではなく、誰でも強い苦しさの中で抱えてしまうことがあります。だからこそ、自分を責める必要は全くないのです。
「死にたい」「消えてしまいたい」と思うのは、あなたが弱いからでは決してありません。
5. 「助けて」と言っていい。あなたは一人ではない
一人で苦しみを抱え込まず、誰かに「助けて」と伝えることは、決して恥ずかしいことでも、悪いことでもありません。むしろ、自分の心を守るための、非常に勇気ある行動です。信頼できる人や専門機関に話すことの重要性を伝えましょう。実際に、周りに話せる人が一人でもいるだけで、危険度は大きく下がることが分かっています。相談するという行為は、孤独な心に「自分の味方を増やす」ための大切な一歩なのです。
あなたや身近な人がそう感じるとき、必ず「援助を求めていい」「助けてと言っていい」「あなたは独りではない」というメッセージを忘れずに。
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おわりに
今回お伝えした5つのポイントには、共通する大切なメッセージがあります。それは、「死にたい」という言葉を「この苦しみから逃れたい」というSOSとして理解すること。そして、その感情を否定せず、弱さではなく耐えてきた証として受け止め、助けを求める権利を肯定することです。
中でも最も重要なメッセージは、「否定せずに、まず相手の苦しみを受け止めること」。これに尽きます。
もし次に誰かのSOSを聞いたとき、私たちはまず何ができるでしょうか? この記事が、あなたと、あなたの周りの大切な人の心を守るための一助となれば幸いです。
最後に、この記事を読んでつらい気持ちになった方へ。どうか一人で抱え込まないでください。あなたの気持ちを受け止め、支えてくれる専門の相談窓口があります。
いのちの電話:0120-783-556