うつ病に苦しむ人々が日々どのような思いを抱いているのかを理解することは、専門的な知識以上に大切な姿勢のひとつです。本人は自分の症状や気持ちをすべて言葉で説明できるとは限らず、ため周囲が想像力と共感力を持つことが求められます。
うつ病で悩む人が抱きやすい思い
「怠けているだけ」「努力が足りない」と自分を褒めてしまう
やる気や気力がわかず、日常の細かいことすら重荷に感じますが、「自分が弱いからだ」「なんとか普通にできないんだろう」と自責の念にかわりがちです。
他人に理解されない孤独感
「誰にもわかってもらえない」「こんな自分は迷惑だ」「助けを求めてもどうせ伝わらない」といった孤立感や絶望感を持つことが多いです。回復への希望が当面ない
「この状態が一生続くのでは」と感じやすく、良くなる兆しが全く見えず、という絶望の中で日々を過ごしている方もいます。
理由もなく泣きたくなったり、不安に押しつぶされそうになる
特別なきっかけがなくても、驚き、涙、不安感、焦感が突然起きることがあります。
「迷惑をかけても消えたい」といった希死念慮
他人を思いやるタイプの人ほど「自分がいなくて迷惑だ」「いなくなったほうが家族のため」とまで考えてしまう場合があります。
鬱病アドバイザーに求められる姿勢
ただ知識があるだけではなく、感情や状況に寄り添う力がかかる
正確な知識も重要ですが、本人が固まらない辛さや葛藤、不安、無力感に目を向けて、「少しゆっくりする」ことが大切です。改善を焦らず、安心できる言葉がけや態度を心がける
無理に励みました、「もっと頑張れ」などの言葉は逆効果になることもあって、「一緒にゆっくり考えましょう」「今のままで大丈夫」と安心感を伝えることが大切です。
「自分も人間だから完璧ではない」と力を抜くことも大事
サポートする側も悩むこと、気持ちが揺れることは自然なことです。 まずは相手の「いま」をそのまま受け止める姿勢を持ちましょう。
うつ病の専門家として相談に乗る際は、規定正しい知識を伝えるだけではなく、相談者の意見に寄り添い、安心感を見据えた姿勢が求められます。このような対応が、治療への一歩を踏み出す勇気を問います。
具体的な対応ポイント
正しい情報と選択肢をわかりやすく説明する
うつ病の症状や治療法、薬の効果・副作用、生活上の注意点など、専門用語を避けてわかりやすく伝えます。誤った情報や偏見に基づいて不安を取り除き、信頼関係を築くことが重要です。
「あなたの意思は特別なことはない」と伝える
うつ病は誰もがかからない病気であり、当面本人の性格や根性、努力不足ではないことを強調することで、罪悪感や孤独感をやわらげます。
相手の話否定せずありのまま受け入れる
「そんなこと気にしなくていい」「もっと頑張れ」などの否定的な言葉は避け、「辛かったですね」「話してくれてありがとうございます」など、共感と思いやりの言葉で接します。
必要以上に改善を急がないこと
回復には時間が必要なこと、焦らず自分のペースを大事にして良いことを伝え、プレッシャーを与えないようにします
「話すだけでも大丈夫」「見るだけでも構わない」といった声かけで、初めての挑戦への抵抗感や緊張を覚悟します。
うつ病の方にとって「自分の気持ちを受け止めてくれる場」ができることは、治療そのものと同じくらい心の支えになります。 知識と共感の両方が集中した専門家であることが最も大切です。