うつ病になりやすい人の受診までの道のり|支援を求める勇気

うつ病への道のり:「もういいかな」と思った時、手を伸ばす勇気
はじめに
「今日も何もできなかった」
「みんなに迷惑をかけている」
「もう疲れた…」
こんな声が心の中で響いたことはありませんか?
うつ病は誰にでも起こりうる病気です。特に真面目で責任感が強い人、完璧主義の人、他人を優先しがちな人は、知らず知らずのうちにその道を歩んでいることがあります。
今回は、そんな性格傾向を持つ人がうつ病を発症し、最終的に受診という大切な一歩を踏み出すまでの物語を、按図よしひろ先生のコミック「もう死んでもいいですか?」の世界観に触発されながらお伝えします。
うつ病になりやすい性格傾向とは
完璧主義な人
「100点でなければ意味がない」と考えがちな人です。少しのミスも許せず、常に完璧を求める姿勢が、やがて自分を追い詰めてしまいます。責任感が強すぎる人
何でも自分の責任だと感じてしまう人です。チームの失敗も、家族の問題も、すべて「自分のせい」だと抱え込んでしまいます。
他人を優先する人
自分のことは後回しにして、常に他人のことを考える優しい人です。でも、その優しさが時として自分を苦しめることになります。
感受性が豊かな人
周りの感情を敏感に感じ取ってしまう人です。人の悲しみや怒りを自分のことのように受け取ってしまい、心が休まる時がありません。
物語:田中さんの場合
第一章「完璧な毎日」
田中さん(32歳、会社員)は、同僚からも上司からも信頼される真面目な人でした。
「田中さんに任せておけば大丈夫」
そんな言葉が嬉しくて、どんな仕事でも引き受けていました。残業は当たり前。休日出勤も「みんなのため」と思えば苦になりませんでした。

コミック風エピソード
田中さんの机の上には、山のような書類。
同僚A「田中さん、これもお願いします」
同僚B「急ぎの案件、田中さんしかできないので」
田中さん「はい!がんばります!」(満面の笑み)

でも、心の中では…
(小さな声で)「また増えた…でも断れない…」

第二章「小さなひび」

最初の変化は、朝起きるのがつらくなったことでした。

「昨日も遅かったからな」と理由をつけて、自分を納得させていました。でも、十分な睡眠をとっても疲れが取れない日が続きました。

コミック風エピソード

朝6時のアラーム。
田中さん「...重い」
スマホを見る。SNSの楽しそうな投稿が目に入る。
田中さん「みんな楽しそうだな...僕だけ?」

電車の中でも、ぼんやりと窓の外を見つめる田中さん。
心の声「今日も長い一日が始まる...」

第三章「崩れていく日常」

些細なミスが気になるようになりました。以前なら笑って済ませていたことが、頭から離れません。

「自分はダメな人間だ」
「みんなに迷惑をかけている」

そんな思考が頭の中をぐるぐると回り始めました。

コミック風エピソード

プレゼンテーションの場面。
田中さん「えーっと...」(資料を落とす)
参加者たちの視線が痛い。
田中さん「すみません!」

その夜、布団の中で...
田中さん「今日もダメだった...みんながどう思ってるか...」
時計は午前3時を指している。

第四章「見えない底」
食事がおいしく感じられなくなりました。好きだったテレビ番組も、趣味の読書も、何も楽しく思えません。
「僕がいなくなっても、みんな困らないんじゃないかな」
そんな考えが浮かんだ時、田中さんは怖くなりました。
コミック風エピソード
帰宅した田中さん。冷蔵庫を開けるけれど、何も食べたくない。
田中さん「お腹は空いてるはずなのに...」

ソファに座り、ぼんやりとスマホを見る。
友人からの連絡。「今度みんなで飲み会しない?」
田中さん「楽しくできるかな...迷惑かけるだけかも」

そして、ふと思う。
「僕がいなくても...」
はっとする田中さん。
「こんなこと考えちゃダメだ...でも...」

第五章「大切な人の言葉」
ある日、心配した家族から電話がかかってきました。
「最近、元気ないみたいだけど大丈夫?」
その優しい声に、田中さんの涙が溢れました。
コミック風エピソード
電話中の田中さん。
母親の声「たまには実家に帰っておいで」
田中さん「大丈夫だよ、仕事忙しいから」

でも、声が震えている。
母親「田中?泣いてるの?」
田中さん「...」(涙が止まらない)

母親「一人で頑張りすぎないで。辛い時は辛いって言っていいのよ」
田中さん「お母さん...」

第六章「勇気の一歩」
家族の言葉がきっかけで、田中さんは初めて「助けが必要かもしれない」と思いました。
インターネットで調べてみると、自分の症状がうつ病の特徴と重なることに気づきました。
「でも、病院に行くなんて...」
「まだ大丈夫かも...」
そんな葛藤を繰り返しながらも、ついにクリニックに電話をかける勇気を振り絞りました。
コミック風エピソード
スマホを手に持つ田中さん。画面には心療内科の電話番号。
田中さん「かけてみようかな...でも...」

何度も電話をかけそうになって、やめる。
田中さん「まだ平気だよな...みんなもっと大変な人いるし...」

でも、鏡を見た自分の顔にハッとする。
田中さん「痩せたな...こんな顔してたんだ」

そして、ついに...
田中さん「もしもし...予約をお願いしたいのですが...」
受付の優しい声「はい、ありがとうございます」

電話を切った後、田中さんは少しだけほっとした表情を見せる。

受診への道のりで大切なこと
一人で抱え込まない
うつ病になりやすい人は、「自分で何とかしなければ」と考えがちです。でも、専門家の助けを求めることは決して恥ずかしいことではありません。
小さなサインを見逃さない
朝起きるのがつらい
食事がおいしく感じられない
趣味に興味がなくなった
集中力が続かない
自分を責める気持ちが強くなった
これらのサインが2週間以上続くなら、専門家に相談することをおすすめします。
周りの人の力を借りる
家族や友人の「大丈夫?」という言葉は、とても大きな支えになります。一人で頑張ろうとせず、周りの人に正直な気持ちを伝えてみてください。

受診するときのコツ
症状をメモしておく
診察の時に緊張して話せなくなることがあります。事前に症状や気持ちをメモしておくと、スムーズに相談できます。
一人で行かなくてもいい
不安なら、信頼できる人に付き添ってもらっても構いません。一人じゃないと思えるだけで、気持ちが楽になります。
完璧に説明しようとしない
「うまく伝えられないかも」と心配する必要はありません。医師は専門家です。断片的な情報からでも、あなたの状況を理解してくれます。

うつ病は「心の風邪」と言われることもありますが、風邪と同じように適切な治療を受けることで改善します。
田中さんのように、最初は「まだ大丈夫」「自分で何とかしなければ」と思うかもしれません。でも、苦しくなったとき、「もういいかな」と思ったとき、それは助けを求めるサインです。
あなたの人生は価値があります。
あなたがいなくなったら悲しむ人がいます。
そして、適切な支援を受けることで、必ず光が見えてきます。
最後のコミック風エピソード
数ヶ月後の田中さん。
友人「最近、表情明るくなったね」
田中さん「そうかな?」

心の中で...
「あの時、電話してよかった」
「まだ完全じゃないけど、少しずつ前に進んでる」

新しい朝日を見つめながら...
田中さん「今日も一歩ずつ」
もし今、この記事を読んでいるあなたが田中さんと同じような状況にいるなら、どうか一人で抱え込まないでください。手を伸ばす勇気を出してください。あなたを支えてくれる人が、必ずいます。
相談窓口
こころの健康相談統一ダイヤル: 0570-064-556
いのちの電話: 0570-783-556
あなたは一人じゃありません。

投稿者 aisalon

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です