うつ病にはいくつかの種類があり、それぞれ医学的に特徴が異なります。

以下に各タイプについて解説します。

① 内因性うつ病

  • 定義:外部からの心理的・身体的な明らかな原因がなく、主に遺伝的素因や体質、脳の内的な機能障害を背景に発症するうつ病です。
  • 特徴:突然発症しやすく、症状が重くなりやすい。強い抑うつ気分、興味や喜びの喪失、自責感、思考や運動の抑制、睡眠障害、食欲低下などが特徴です
  • 備考:従来は「本来のうつ病」として位置付けられてきました。

内因性うつ病の医学的特徴は、主に外部的関与が明確に認められず、遺伝や体質、脳機能の異常など内部的な要素が発症に関与することです。重要な医学の特徴は以下の通りです。

  • 心理的ストレスや環境問題によらず自然発症しやすい
  • 脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリン)の調整異常や、ホルモンバランスの乱れを基盤とすることが多い
  • 抑うつ気分・思考阻害・運動阻害が見る(生気的抑うつ)
  • 気分の非反応性(嬉しいことがあっても気分が上向きにくい)の傾向が特徴
  • 逆覚醒や食欲不振・体重減少・強い罪責感などの「メランコリア型」の症状が出やすい
  • 自殺念θや自責感が強い場合が多い
  • 抗うつ薬が効果を示しやすい(治療への反応性が比較的良いとされる)
  • 身体症状(不眠、頭痛、口臭、便秘など)も起こりやすい

また、内因性うつ病は家族歴が認められることや、メランコリー親和型性格(自己犠牲や配慮の強い性格傾向)との性質が指摘されています関連

精神症状および身体症状が明確に現れやすく、「季節の変化や体調など自分の内側から気分の変調が始まる」点も、他のうつ病(心因性など)と区別されます

現代基準診断(DSM-5等)では病態分類に「内因性」という言葉はあまり使われませんが、伝統的には上記のような特徴が医学的特性として認識されています

② 軽症うつ病

  • 定義:うつ病の中でも症状が比較的軽い状態です。
  • 特徴:抑うつ気分や興味の喪失などの主要症状はあるものの、その程度が軽く、日常生活や仕事などに大きな支障をきたさない場合が多い。睡眠や食欲の変化、疲労感など軽度の自律神経症状が現れます
  • 備考:不調を自覚していても医療機関の受診が遅れるケースもあります。

軽症うつ病の医学的特徴は、抑うつ症状が比較的軽度で、日常生活や仕事・学業への支障がないか、あっても限定的である点が最大の特徴です。

主な医学の特徴は次の通りです。

気分の落ち込みや下落はみられるが、家事や仕事は何とか継続できる場合が多い。

コミュニケーションや社会生活も維持可能で、本人や周囲が病気や気になりにくい。

集中力の低下や作業効率の悪化、理由のない不安や焦感がよく認められる。

口数が軽く、身だしなみへの配慮がなくなる、物事を否定に捉えやすくなるなどの軽度の心理的・行動の変化。

睡眠障害や疲労感、頭痛、食欲低下などの軽い身体症状も出現しやすい。

診断上は、うつ病の標準的な診断基準のうち、満たす症状項目が比較的少ない状態とされています正しいな治療により、回復する可能性は高いもの、「軽いから」放置せず、最悪予防・再発防止のためにも早めの参加が重要です。

注意点として、軽であっても自責感鬱うつが強い場合や自殺念θが隠れていることがあり、十分な医学的な注意が必要とされています。

軽症うつ病でも、他のうつ病と同様に脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン)が機能低下または秘密の低下を起こしていることが医学的に示唆されています。

セロトニンの減少:気分の安定や睡眠・食欲の調整に関与し、不足すると気分の落ち込み、不安、睡眠障害が現れます。

ノルアドレナリンの低下:競争や注意力の維持に関係し、減少すると期待低下や集中的な困難になることが起こります。

ドーパミンの減少:快適ややる気、報酬系に関与し、分泌が低下すると喜びや興味を感じにくくなります。

軽症うつ病の場合は、これら神経伝達物質の異常が症状例に比べて程度が軽いと想定されますが、根本的な神経生物学的構造は症状例と共通してされています。また、個人差や症状の出現方はありますが、三つの神経伝達物質(モノアミン)のバランスの崩れが主要な背景とされています。。

すぐに、特に軽い症状のため特定の神経伝達物質の変化が明確に証明されているわけではなく、症状例と共通のメカニズムが想定されている点に注意が必要です。

③ 神経症のうつ病(抑うつ神経症)

  • 定義:長期間続くストレスや不安など、主に心理的要因によって生じる、軽度〜中等度のうつ状態です。
  • 特徴:気分の落ち込みが1日中持続し、不安やイライラ、倦怠感、意欲の低下などがみられます。通常、ストレス原因が明確で、神経症圏として扱われることもあります
  • 備考:気分変調症や不安障害と近い症状群も含まれています。

神経症のうつ病(抑うつ神経症)の医学的な特徴は、主に心理的なストレスや不安など明確な外部の問題が発症の背景となり、症状が軽度~中等度で慢性的に持続する点にあります。

主な特徴は以下の通りです。

気分変動が状況依存的で、症状に波がある:日常の出来事やストレス継続によって気分が良くなったり悪化したりしやすい、うつ状態の深刻さが一定でないことが多い。

「抑うつ気分」「非常に低下」「倦怠感」などは見られるが、重いうつ病に比べて日常生活への不安が比較的小さいことが多い。自律神経症状(不安、動悸、発汗、頭痛、胃腸症状などの身体症状)を伴いやすいが、うつ病の典型的な「早朝覚醒」や「日内変動」など生体リズムの乱れは目立たない。

自責感よりも対外的な不満や批判意識が前面に出やすい傾向:症状の原因を「社会」や「他人」に求めがちで、内因性うつ病が自分自身への自責感を強く持つのと対照的。

精神的な自律性は保たれやすく、行動の制御はある程度維持される(「ボロが出ないように頑張る」など)。

慢性的で少し長めの経過があることが多く、「気分変調症」と診断されることもある。

ストレス耐性の低い性格特性(神経質、内向的、感受性が高いなど)を背景にしやすい。

診断基準や分類は時代とともに変わっており、現代の国際的診断基準(ICDやDSM)では「神経症性うつ病」や「抑うつ神経症」という名称は公式ではあまり使われず、「気分変調症」や「適応障害」「不安障害」などに含まれることが多いことも特徴です。

重症化は比較的少なく、行動や社会適応の覚悟を決めることはまれですが、慢性的な不調によりQOL(生活の質)が低下しやすいことには注意が必要です。

④ 非定型うつ病

  • 定義:いわゆる「定型」のうつ病と異なり、典型的症状と逆の特徴を持つタイプです。
  • 特徴:気分の反応性(良いことがあると一時的に気分が良くなる)、過眠や過食、手足の鉛様麻痺、対人関係への過敏な反応など。特に若年女性に多い傾向があります
  • 備考:「新型うつ病」と呼ばれることもあります。

非定型うつ病(非定型うつ病)の医学的特徴は、以下の点で他のうつ病とは明確に異なります。

気分反応性:楽しいことや良い出来事があると一時的に気分が明るい(反応性あり)が、通常は気分が落ち込んでいるのが最も本質的な特徴です。

過眠・過食:典型的なうつ病が「不眠・食欲低下」を主とするのに対し、非定型うつ病では「睡眠時間の増加」「体重増加や食欲増加」がみられます。

鉛様麻痺(leaden parasis) :手足が鉛のように重く感じてゆっくりになる感覚が特徴です。

対人関係での過度な過敏性:他人から批判されたり軽くされたりすることへの過剰な敏感さが見られ、これが社会生活や職業生活の障害となる場合があります。

その他の特徴:

若年発症や女性に多い傾向がある

慢性化・再発しやすい

一見「元気そう」や「仮病」とも思われやすい

生物学の特徴:脳内神経伝達物質(主にセロトニンやノルアドレナリン)の異常関与が指摘されていますが、典型的なうつ病に比べてその明確性は弱く、抗うつ薬がなかなか難しい場合も報告されています

診断基準:DSM-5では「気分反応性+過眠・過食・鉛様麻痺・かなり過敏性」のうち複数が存在することが重視されています。

社会生活との関係や本人の直接に特異な点が多く、診断には専門的な知識が注目です。

⑤ 仮面うつ病

  • 定義:うつ病でありながら、抑うつ気分や悲しみなど精神的な症状が表面化せず、身体症状が前面に出るタイプです。
  • 特徴:頭痛、腹痛、肩こり、便秘・下痢、倦怠感、息切れ、動悸、めまいなどの多彩な身体症状。身体科で検査しても明らかな原因が見つからず、実はうつ病であることが後に判明するケースが多い
  • 備考:正式な診断名ではありませんが、医療現場ではよく使われます。

それぞれのうつ病には発症の背景や症状の現れ方に違いがあり、診断や治療方法も異なることが多いです。ご相談や受診の際は、医療機関で専門的な判断を受けることをおすすめします。

仮面うつ病の医学的特徴は、精神的な抑うつ症状(気分の落ち込み等)が表面に現れにくい、代わりに頭痛や肩こり、腹痛、疲労感、動悸、便秘・下痢など多彩な身体症状が主に現れる点です。

身体症状が主訴:頭痛、肩こり、腹痛、全身倦怠感、不眠、食欲低下、睡眠・息切れ、便秘・下痢、耳鳴りやめまいなど。

精神症状の出現が欠如している:自分が「うつ病」であるとは認識しにくい、抑うつ感・やる気の低下などの精神面の問題が目立たないため身体科全員参加しやすい。

検査で異常所見がみられない:身体症状の原因を調べて各科を受診しても、検査による器質的異常は起こらない。

症状の部位や内容が移ろいやすい:身体的な違和感がさまざまな部位に出現し、途中で移動・変化する。

病識の欠如・誤診されやすさ:患者本人も周囲も心の問題に気づきにくいため診断確定が解決。

長くなることで本来のうつ症状も出現:放置すると落ちうつ気分・ワクワク低下などの精神症状が強くなる場合もある。

午前中に身体症状が強く午後に軽快する傾向が見られることもある。

ストレスや性格傾向:真面目・完璧主義・忍耐強い・心配性な人に多い傾向。

なお、「仮面うつ病」は正式な疾患名ではなく、医学の診断基準(DSM-5など)では広く用いられないもの、臨床現場で依然認知されている概念です。

投稿者 aisalon

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