うつ病は、単一の原因だけでなく、複数の要因が複雑に関与して発症します。主な要因は次の通りです。
環境的要因
大切な人の死別や離別
仕事や財産・健康の喪失
人間関係や家庭内のトラブル
職場や家庭での役割変化(昇進、降格、結婚、妊娠、出産、引っ越しなど)
身体的要因
慢性的な疲労、重い身体疾患
脳や神経の病気(例:脳血管障害、パーキンソン病)
ホルモンバランスの急激な変化(月経、更年期、出産後など)一部の薬剤の副作用
遺伝的要因・体質
過去のうつ病歴や家族歴も背景要素になることがあります。
発症のきっかけは、重大な喪失や急激な環境の変化など、強いストレスイベントであることが多いですが、明らかなきっかけがなく慢性的なストレスの蓄積で発症することもあります。
ストレスがうつ病に与える影響とストレッサーの分類
ストレスの影響
ストレスは、うつ病発症と密接に関係します。特に慢性的なストレス状態が続くと、脳の機能や神経伝達物質(セロトニン、ドーパミンなど)のバランスが崩れ、抵抗力の限界に達することで発症リスクが高まります。
ストレッサーの分類
ストレス要因(ストレッサー)は、下記のように分類されます:
分類 | 具体例 |
---|---|
物理的ストレッサー | 騒音、気温の変化、照明(暗すぎ・明るすぎ)、過酷な労働環境 |
化学的ストレッサー | 薬物、タバコの煙、有害物質、空気汚染 |
生物的ストレッサー | 感染症、持病や慢性的な病気 |
心理的・社会的ストレッサー | 家庭や職場の人間関係、経済的困難、大切な人との別れ、役割の変化 |
慢性的ストレスは、心理的・社会的要因の占める割合が多いのが特徴です。
うつ病になりやすい性格傾向
うつ病のリスクを高める「なりやすい性格」は、次のタイプが挙げられます:
メランコリー親和型
秩序やルールを重んじ、周囲との調和を第一とする。
執着気質
強い責任感、他者や自分にも厳しい、完璧主義。
真面目で責任感が強い
頼まれごとを断れず、自分を追い込んでしまう。
相手に気をつかいすぎる
他者の評価や気持ちを重視し、「自分は我慢」と考えがち。
打たれ弱い、拒絶に敏感
傷つくことを極端に避けようとし、自己肯定感が低くなりやすい。
性格傾向セルフチェック表
以下の表は、うつ病になりやすい性格かどうかをチェックするためのものです。当てはまる項目にチェックを入れてください。
チェック項目 | はい | いいえ |
---|---|---|
几帳面で責任感が強い | ⬜ | ⬜ |
完璧主義で失敗を許せないことが多い | ⬜ | ⬜ |
感情の浮き沈みが激しい | ⬜ | ⬜ |
他者からの評価や期待に過度に気を遣う | ⬜ | ⬜ |
認められたい気持ちが強い | ⬜ | ⬜ |
自分を責めがちで自信が持てない | ⬜ | ⬜ |
悲観的な考え方をしやすい | ⬜ | ⬜ |
打たれ弱く、拒絶されることに敏感 | ⬜ | ⬜ |
他人の期待に応えようとして無理をしがち | ⬜ | ⬜ |
※「はい」が多い場合は、ストレスの感じやすさやうつ病のリスクが高まります。セルフチェックのみで結論を出さず、心配な場合は専門家へご相談ください。ストレスイベントが重なると発症リスクが高まりやすいので、早めのセルフケアや周囲のサポートが重要です。
うつ病は誰でもかかる可能性がある病気であり、心理的傾向が強く出た場合は早めの介入が望まれます。