うつ病特有の感情障害
うつ病特有の感情障害とは、深いうつ病気分と、それに伴う感情の変化や鈍麻、悲哀や絶望、無力感、さらには喜びや興味の喪失です。特徴的なのは、他人に対してというよりも、自分自身に対しての苛立ちが強く訴えられることで、自身に対して情けなさを強く感じます。
具体的な感情障害の内容は以下の通りです。
- 抑うつ気分:「悲しい」「憂うつ」「気が重い」「絶望的な」といった気分が一日中継続します。
- 喜びや楽しさの喪失(感覚消失):以前は家事していた趣味や日常の出来事にも興味や喜びを感じなくなります。
- 自責・自罰感情:自分を激しく受け止めたり、「自分には価値がない」「生きていても意味がない」と感じる傾向が強くなる。
- 悲哀・孤独・無力感:理由なく悲しかったり、強い孤独感、無力感を好むことが多いです。
- 感情鈍麻:「悲しい」「嬉しい」といった感情自体が薄れ、涙も出なくなるような状態になることもあります。
- 強い不安や焦感:理由がわからない不安イライラやよくみられる感情症状です。
これらの感情障害により、日常生活が著しく損なわれるのがうつ病の大きな特徴です。感情障害は、活発や思考、さらには身体症状(不眠、食欲低下など)と広がって現れることが多いです。
「うつ病になるとみられる感情障害は、ネガティブな感情が圧倒的に優勢となり、ポジティブな感情や前向きな特徴が著しく失われるのがです」。
なお、無意識気分障害と比べて、うつ病の感情障害は持続的かつ、自己評価の低下や自責傾向が慎重であり、正しい治療を必要とします。
うつ病の身体症状
うつ病の身体症状としてよく見られるのが、次の4つの症状です。
①全身倦怠感 ②睡眠障害 ③頭痛 ④胃の不快感
最も多く訴得られる身体症状が、全身倦怠感と言われる症状です。
このほかにも、うつ病の身体症状は多様に続き、徐々に気分の落ち込みにとどまらず、日常生活や身体の機能に大きな影響を与えます。
- 倦怠感・疲労感:常に体がだるい、少しのことでもすぐに疲れる。
- 睡眠障害:眠れない(不眠)、寝ない、または逆に過眠になることもある。
- 食欲・体重の変化:食欲が下がる、または増える、結果として体重が減少・増加する。
- 頭痛・肩こり・腰痛:明確な原因がなくても頭痛、肩や背中、腰の痛みが現れる。
- めまい・耳鳴り:平衡感覚に異常を感じることも多い。
- 肝心・息苦しさ:心臓がドキドキする、息切れや胸の圧迫感、不安感に伴うことも多い。
- 消化器症状:吐き気、胃不快感、便秘や下痢などの消化器症状。
- 手足のしびれ・冷感:手足しびれを感じたり、冷たさを感じたりすることがある。
- 性欲減退・生理不順:性欲がなくなる、女性では生理不順がみられる。
- 体の痛み、体がうずく:体の各部位の痛みやうずきを表すことがある。
- その他:口が乾く、味覚の変化、皮膚のトラブル(湿疹・かゆみ)、寝汗などの体温調節の異常も報告されています。
うつ病では心の症状が目立たない代わりに、変わった身体症状が強く出ることがあり、医療機関でも内科を受診してさまざまな検査をしても異常がみられず、最終的にはうつ病が疑われるケースも少なくありません。
特に、上記の症状が「原因がわからないのにしばらく続く」「日常生活や仕事・学業に支障が出る」場合は、うつ病の可能性があるため、精神科や心療内科などの医師への相談が推奨されます。
うつ病のサイン
うつ病は、周囲の人が異変に気が付いて、声をかけてあげることで、早期治療、早期回復につながることがあります。ここで、うつ病の早期発見、早期回復のためにも、周囲の人が気付ける、うつ病のサインについて理解しておきましょう。
うつ病のサイン(特に)には、気分や刺激的なだけでなく、身体や思考にもさまざまな変化が現れます。国際的な診断基準(DSM-5など)で重要とされる代表的な初期サインは以下の通りです。
うつ病を疑うサイン
強い気分の落ち込みが2週間以上ほぼ毎日続く
何をしても楽しくない(興味や喜びの喪失)
疲れやすくなる/だるさが続く(易疲労感)
眠れない/寝ても熟睡感がない/逆に睡眠が長くなる
食欲や体重の大きな変化(減少する・増える)
気力・やる気の低下
無価値感や疲労と罪悪感
集中力や思考力の低下、決断が勇敢になる
死について考える、自殺念慮などの真剣な思い込み
これらのうち「気分の落ち込み」「や興味楽しみの喪失」のどちらかは必須のサインとされ、合わせて5つが2週間以上続き、日常生活や社会生活に出ている場合は本格的なうつ病が疑われます。
具体的なチェック例
朝起きるのがつらくて、いつもや仕事・学業の努力が続かない
細かいことでも悲観的になり、将来に希望を感じられない
疲れや身体の不調(頭痛・肩こり・胃腸の不調など)が注目
家族や友人と会うのがおっくう、人間関係を気にする
日常的な気分の落ち込みとは違う、生活機能への影響、持続期間、原因が特定できない症状がうつ病のサインの大きな特徴です。
これらのサインに自分や身近な人が気になる場合は、早めに医療機関への相談が推奨されます(自己判断に頼らず専門家へ)。
うつ病のセルフチェック
うつ病セルフチェックシート
問/過去2週間のあなたの状態に最も近いものを選んでください
- 気分が落ち込んだり、憂うつになる日が多かった
- これまでやっていたことに興味や喜びを感じなくなった
- 疲れやすく、だるさが続いている
- 眠れない、夜中や早朝に目が覚める、または逆によく寝すぎてしまう
- 食欲が落ちた、または増えた(体重変化も含む)
- やる気・意欲が湧かない
- 集中力が落ちた、決断力が低下した
- を責められてしまう、無価値感や罪悪感を強く感じる
- 死を繰り返し考える、自らを取り組みたいと思う
- お腹頭痛・肩こり・任意・気分の不調など身体の不調が続いています
回答方法
- まったくない(0点)
- 時々ある(1点)
- ほぼ毎日ある(2点)
合計金額での目安評価
- 0~4点:うつ症状は低い
- 5~9点:軽度のうつ状態(要経過観察)
- 10~15点:中等度のうつ状態(専門家への相談を推奨)
- 16点以上:重度のうつ状態(早期の参加を強く推奨)
セルフチェックは目安としてご覧ください。多くは当てはまったり、日常生活や仕事・学業などへ問題が出ている場合は、必ず医療機関や専門家にご相談ください。
【注】質問内容はPHQ-9・QIDS-J・ベックうつ評価度など、国内で広く使われるうつ病評価尺度を参考にしています。