うつ病になると、イライラ、不安感などの抑うつ症状が現れますが、うつ病以外にも、同様の症状が部分的に現れる心の病があります。また、そういった心の病とうつ病が併発・合併している場合も多くあるのです。
では、うつ病と合併しやすい病気、症状の似た病気とは、どのようなものなのか、最近よく見られる心の病について学んでいきましょう。
うつ病の症状と似た心の病には、いくつかの代表的な精神疾患や身体疾患があります。症状が重複するため、医師による丁寧な鑑別が重要です。主なものを以下にまとめます。
うつ病の症状と似ている主な心の病
1.適応障害
- 強いストレス(職場・学校・家庭など環境汚染)がきっかけで発症します。
- 抑うつ気分や不安、イライラ、期待低下、不眠、食欲不振など、うつ病に似た症状が現れます。
- 原因となるストレスから離れると症状が改善しやすく、やがて続く場合はうつ病等の可能性もあります。
2. 双極性障害(躁うつ病)
3. 不安障害・パニック障害など
4.うつ病の症状と似やすい身体疾患
- 不安や強いこだわりから「何度も洗う」「確認行為がやめられない」などの症状とともに、不安やうつ気分や低下が起こる場合がある。
- うつ病の症状と似やすい身体疾患
- 感染症
- 伝染性単核球症、エイズなど。
- 内分泌系疾患
- 甲状腺機能低下症、副腎機能低下症など。
- 物質誘発性
- 降圧剤、抗てんかん薬、抗パーキンソン薬、抗腫瘍薬などの薬剤によってうつ様症状が起こることがある。
- 神経学的疾患
- パーキンソン病、認知症、てんかん、脳血管障害、腫瘍などが挙げられる。
- パーキンソン病では約50%の患者に抑うつ症状がみられるとされる。
- 脳血管障害(脳卒中:脳出血や脳梗塞) 発症後、2年以内にうつ状態を呈しやすいことが報告されている。 特に前頭葉障害ではうつ病の発症リスクが高いとされる。
- 仮性認知症(うつ病)とアルツハイマー型認知症などの認知症性疾患との鑑別
- うつ病と認知症は症状が類似する場合があり、鑑別が重要となる。 特に、うつ病の症状として思考のスピード低下(思考制止)がみられる場合、アルツハイマー型認知症などの認知症性疾患と類似することがあり、この状態を「仮性認知症」と呼ぶ。
- 鑑別点は以下の通り:
- 仮性認知症(うつ病)は認知機能障害が突然出現し、急速に進行する。
- 仮性認知症(うつ病)では自責感など、他のうつ病の症状を伴う。認知症では自責感は認められない。
- 仮性認知症(うつ病)では認知機能障害に日常変動がみられる場合がある。
- 仮性認知症(うつ病)の患者は「分かりません」と答える傾向があるが、繰り返し問いかけて答えられることも多い。
- ただし、認知症患者でも抑うつ症状を伴う場合があり、鑑別が困難となることもある。
- うつ病と誤診されやすい精神疾患
- 抑うつ症状を伴いやすい精神疾患には以下のものが挙げられる。
- 適応障害(うつ気分を伴うもの)
- アルコール使用障害
- 不安障害(社交不安障害、パニック障害、心の外傷後ストレス障害)
- 遊び性障害
- 摂食障害(神経性やせ症、神経性過食症)
- 気分障害(双極性障害、気分循環性障害、気分変調症)
- 統合失調症、統合失調症様障害
- 身体症状および症状群関連
- 適応障害は、抑うつ症状、不安症状、素行障害などを伴うさまざまなサブタイプがあります。 なお、適応障害のうつ症状はうつ病のうつ状態とは経過・治療方針が異なります。
- また、双極性障害とうつ病は異なる疾患であるが、うつ状態のみの場合は異なることが困難なことがある。過去の病歴の中に躁状態が疑われるエピソードがないか、詳細な問診が重要です。
5.統合失調症
6. 摂食障害(神経性やせ症・過食症)
7. 「うつ様症状」(仮性うつ病)
- 甲状腺機能低下症やパーキンソン病、脳血管障害など、身体の病気でうつ病に似た症状が出ることもあります。
- 仮面うつ病(かめんうつびょう)は、うつ病の症状でありながら、精神的な症状よりも頭痛、肩こり、全身の倦怠感、胃腸症状などの身体の症状が強く現れる病態です。
- 主な特徴
- 精神症状よりも身体症状が本体
本来のうつ病で好ましい気分の落ち込みややる気の低下よりも、身体の不調(頭痛・肩こり・腰痛・胃痛・食欲・食欲不振・下痢や便秘・全身倦怠感など)が前面に出ます。 - 診断の遅れ・不安が多い
身体症状に隠れて精神症状が目立たないため、内科等で検査をしても異常がないことが多く、仮面うつ病への気づきが遅くなることが多い。 - 症状の「仮面化」
身体の症状に精神的な苦痛うつ病=うつ状態が隠れているため「仮面うつ病」と呼ばれています。 - 外見的には元気そうに見える例もある
表面的には日常生活や仕事、家庭で普段通りに振舞っています、周囲的にはうつ病に思いにくい場合があります。 - 「うつ病の初期」や「軽い事件」として一時的にされる場合もある
仮面がそのまま進行するとうつ病の精神(やる気の低下、落ち込み、無気力など)が表れることもあります。 - 仮面うつ病でみられる特定の身体症状
- 頭痛、首・肩の痛みやこり
- 背中・腰の痛み
- 胃腸症状(胃もたれ、吐き気、食欲不振、便秘・下痢)
- 概要、息苦しさ
- 全身の倦怠感
- 睡眠障害(寝つきの悪さ、中途覚醒)
- 性欲減退や冷感
- ふわふわしためまい感や立ちくらみなど、
多彩で全身に及ぶことが特徴です。 - 原因・なりやすい人の特徴
- 精神的・身体的ストレスが発症する背景にあることが多く、過労や人間関係、環境の変化などもきっかけとなります。
- 完璧主義、几帳面、強い責任感、心配性などの気質を持ちやすいと指摘されています。
- 中高年、特に40代以降で増加傾向。更年期や家庭環境の変化も誘因となることがあります。
- 鑑別が重要な疾患
- 仮面うつ病の身体症状は、自律神経失調症や更年期障害、一般的な内科疾患と症状が似ていますが、検査で原因が見られない場合は仮面うつ病も鑑別されます。
- 肩こりや胃腸の症状が強くても、診断がつかない場合は早めに心療内科や精神科に相談することが推奨されます。
- 治療と対応
- 抗うつ薬や認知行動療法など、一般的なうつ病と同じ治療が行われます。
- ストレス軽減・休養・カウンセリングも重要です。
- 早期発見・早期治療で回復するケースが多いとあります。
- 注意点
- 本人も存在し痛くて、周囲も見落としやすいため、原因不明の身体症状が続く日常生活への影響が大きい場合は、心の不調も疑うことが大切です。
- 自己判断せず専門医の挑戦がお勧めされます。
- 「仮面うつ病」は、明らかな抑うつ気分がなくても身体症状という「仮面」の裏にうつ病が隠れていることが特徴であり、存在もされにくい疾患です。
特に間違えられやすい「適応障害」と「双極性障害」
- 適応障害は心理的ストレスが続き、「うつ病」と酷似した症状が出ますが、ストレス軽減から離脱と改善しやすい。 6か月以内に症状が軽減しない場合はうつ病を疑います。
- 双極性障害は、うつ状態と躁状態を繰り返す病気です。躁状態の経験を本人や家族が抱えていると「うつ病」と思われやすいですが、治療や予後が異なるため注意が必要です。
まとめ
- うつ病と症状が似ている心の病は多数あり、代表例には「適応障害」「双極性障害」「不安障害」「対話性障害」「統合失調症」などがあります。
- ストレス軽減・過去の状態の有無・症状持続期間などそれぞれ別のポイントです。
- 初期の専門家と正確な診断が適切な治療につながります。