アルコール依存症とうつ病

 アルコール依存症とうつ病は、症状が似ているだけでなく、相互に強く関連する病気です。 以下に、うつ病に似た病気としてのアルコール依存症の特徴やそれぞれの関係性、共通点、見分け方などを整理します。

アルコール依存症とうつ病の共通点

  • 気分の落ち込みや刺激の低下、無力感・絶望感など、時には「うつ症状」がアルコール依存症でも現れやすい。
  • 睡眠障害や食欲の変化、集中力の低下、日常への興味関心など、生活全般への影響も共通しています。
  • アルコール依存症の人の多くが、中等度~重度の抑うつ症状や不安を合併しています。

病気の進行・発症パターン

  • うつ病が進んでアルコール依存症になる(一次性うつ):もともとうつ状態や不安な症状があり、「嫌な気分を紛らわすため」に飲酒する過程で依存が進行する。
  • アルコール依存症が先行してうつ状態になる(性二次うつ): 一瞬の飲酒を続ける中で脳の神経伝達物質のバランスが崩れ、自尊感情の低下や抑うつ状態が現れる。

誰かは似ているのか?

  • アルコールは一時的に気分を良くする作用を持つ方、依存が進む継続効果が薄れ、アルコールが切れると気分の落ち込みが強まる悪循環になります。
  • アルコール自体が脳のセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質に作用し、慢性的な飲酒はうつ状態を強く誘発しやすくなります。
  • どちらにも強いストレス、遺伝的傾向、社会的孤立など共通する発症を抱えています。

見分け・診断のポイント

  • 離脱症状を伴う抑うつ(お酒をやめると落ち込む)や、「お酒を飲んでいないときに気分がより不安になる」場合はアルコール依存症特有のうつ状態(二次性うつ)の可能性が高い。
  • 酒を一定期間続けてもうつ病が改善しない場合、一次性うつ病または一方の併発が疑われます。
  • どちらか一方だけを治療しても改善があれば、併存例では並行した治療が必要です。

うつ病とアルコール依存症の合併率・リスク

  • アルコール依存症の人は、一般の人に比べてうつ病の発症率が2〜4倍高いとされています。
  • 逆に、うつ病患者の20〜40%は、アルコール依存症も合併していると報告されています。
  • 特にそちらが併存する場合、自殺リスクが著しく高くなるため、注意な対応が求められます。

 

まとめ

アルコール依存症は「うつ病に似ている」だけでなく、しばしば本物のうつ病と合併しています。 見かけ上は非常に似た症状となりますが、「アルコールと気分の関係性」「突然の様子」「断酒による症状の変化」などで鑑別が行われます。

投稿者 aisalon

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