青年期(およそ12歳~18歳~20歳前半)におけるうつ病は、大人と変わらない深刻な疾患であり、発症率・有病率も年齢とともに上昇し始めます。 特に10代半ば以降に発症のピークがあり、以下のような特徴があります。
- 発症率・有病率
青年期(日本・西部ともに)は有病率が2~8%とされている、アメリカの大規模調査では13~18歳で約11%前後、15~18歳では12~15%程度に達成する報告もあります小学生は1~2%ですが、中高生(青年期)で急増し、成人に近い割合になります。 - 性差
思春期以降、女性の有病率が男性の2倍近くに増加します。 - 臨床的特徴青年期のうつ病の症状は大人と似ていますが、「イライラしやすい」「反抗的」「攻撃的」「無気力」のような非典型的な表現も目立ちます。また、
不安障害、ADHD、物質乱用などの併存症(併存症)も多く、社会・学業・家庭の機能低下、自殺企図図のリスクとも密接に関連します。 - リスク軽減
遺伝的背景(家族歴)、不登校やいじめ、家庭不和、苦痛、LGBTQ(性的少数者)、慢性疾患、女性であることが挙げられます。 - 治療と予後
青年期うつ病は早期発見・治療が目安で、薬物療法(主にSSRIや抗不安薬)・心理療法(認知行動療法等)などが中心となります発症が早いほど社会的・職業的予後が不良になりやすく、自己評価の低下や自殺リスクも覚悟します。 - 特殊なポイント
- 青年期のうつ病は、特に女性、思春期後期、対人関係のストレスが高い環境でリスクが急激に上昇します。大人と比較して非典型的な症状が注目され、複数の疾患が重なりやすいなどの特徴を把握し、早期の気づきと周囲の支援が重要です。
- 青年期は多感な時期ということも影響して、早期の治療に結びつかない傾向も見られます。神経症のような病が隠されている場合もありますので、この時期の変化には特に注意しておきましょう。