うつ病アドバイザーの視点から、2025年の最新統計や労災の実態、職場環境が心身へ及ぼす影響をまとめます。ご家族や同僚がうつ病を発症した時に役立つ情報と、早期対応・支援のポイントまで解説します。
うつ病と自殺の深い関係―2025年の最新動向
自殺はうつ病患者が最も恐れられるリスクの一つです。2025年度の国内自殺者数は2万人余り(暫定値:20,268人)と報告されており、そのうち6割以上がうつ病など心の病を抱えています。特に働き世代や若年層の自殺が増加傾向にあります。
月別自殺者数(暫定・警察庁)
- 5月:1,564人
- 7月:1,468人
- 8月:1,342人
※その他の月は集計中です
職場環境が働く人の心を追い込む要因
近年、長時間労働やパワハラ、人間関係の悪化・責任過多・孤立・経済不安などが働く世代のストレスとなり、うつ病や自殺を招くリスクが上昇しています。
職場環境の主なリスク
- 過重労働や休暇取得困難
- ハラスメントや人間関係の悪化
- 業務量・責任・プレッシャーの増大
- サポートや相談体制の不足
- 雇用や賃金への不安
過重労働が心身に与えるダメージ
過重労働は脳卒中や心疾患、免疫低下・慢性痛など身体面の疾患だけでなく、精神面ではうつ病・適応障害・自殺念慮のリスクも劇的に高めます。
「過労死ライン」=1ヶ月100時間残業 or 2~6ヶ月の平均80時間/月超が基準です。
精神障害の労災認定・申請状況
2024年度の精神障害による労災認定件数は過去最多1,055件。認定率は30.2%と、申請のうち約3割が認定されています。パワハラや業務量、カスハラなどが主な要因で、年間88件が自殺・自殺未遂による認定です。
労災申請の手続きと会社が協力しない場合の対処
- 会社への報告、診断書や勤務記録の準備、労基署への書類提出、審査、給付通知が基本的な流れです。
- 主な提出書類:療養補償給付請求書、医師の診断書、勤務データ、事故報告、関連資料(6か月間の業務関連含む)
- 会社に証明拒否されても「本人申請」で手続きできます。拒否の経緯を書面添付、労基署が独自に会社へ照会・調査します。
- 困ったら弁護士や労務士、労基署相談を活用しましょう。
周囲のサポートが最重要
うつ病患者の「死にたい」「消えたい」という訴えは深刻に受け止め、決して否定せず、じっくり傾聴し、重症例は専門医や危機管理窓口に即相談しましょう。
まとめ
- うつ病と自殺は非常に強く関連
- 職場環境が精神疾患・自殺リスクを高める
- 労災申請は本人だけでもできる仕組みあり
- 正しい知識と早期対応、冷静な支援が命を守ります